「インターナショナル・ビアコンペティション2012」審査講評

インターナショナル・ビアコンペティション
審査委員長 田村 功

   「インターナショナル・ビアコンペティション2012」(IBC2012)は、去る8月25日、東京・恵比寿ガーデンプレイス“ザ・ガーデンルーム”で開催された。今年のIBCは、「インターナショナル・クラフトビア・デイズ」(8月24日~26日)の一環として、「ルボー マリアージュ」と「インターナショナル・クラフトビール・コンファレンス」に挟まれた中日に執り行われた。  

 今年のIBCには世界の18か国から85ブルワリーが参加し、出品数は全部で248銘柄と、国際色豊かでしかも過去最大のコンペティションとなった。その内、国内は52ブルワリーから159銘柄、海外からは33ブルワリーから89銘柄が出品された。

 これらを43名のジャッジで、午前9時半から午後5時まで審査し、スタイル・カテゴリー毎に金・銀・銅賞を選出した。審査員についても国際色豊かで、海外からは米国ブルワーズ協会会長チャーリー・パパジアン氏をはじめ17名が来日、国内からはブルーワー、ビアパブ関係者、日本地ビール協会認定ジャッジなど26名が参加した。いずれもビール審査実行委員会、及び日本地ビール協会から招聘されたメンバーであった。

  日本を除く国別審査員数は、アメリカが4名、イギリスが2名、オランダが2名、ほかにドイツ、フランス、ノルウェー、インド、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、韓国、ブラジルからそれぞれ1名ずつが参加した。

 海外からエントリーした89銘柄は、すべてボトルビールばかりでケグは皆無であった。ボトル/缶ビール部門で審査されたビールは、この89銘柄に国内の88銘柄を合わせた177銘柄。審査の結果、入賞ビールは海外51銘柄、国内37銘柄となり、海外が上回った。

 しかし、スタイルの系統別に見ると、ピルスナー、デュンケル、ヴァイツェン、ケルシュ他を含むドイツ系ビール合わせて、国内ビール19銘柄が入賞(海外ビールは9銘柄)して高い水準にあることをアピールした。

 ペールエール、ブラウンエール、ポーター他を含むイギリス系ビールの入賞は国内9銘柄・海外8銘柄、アメリカン・ペールエール、アメリカンIPA他を含むアメリカ系エールでは国内・海外ともに6銘柄で、いずれも互角の勝負であった。

 ところが、ベルギー系ビールでは国内ビールがわずか2銘柄の入賞だったのに対して、海外ビールは10銘柄入賞と圧倒的な強さを見せた。これについては、国内からのエントリー数が少なかったことも要因(海外17対国内6)となっているので、今後はベルギー系ビールをつくるブルワリーが増えていくことを期待したい。

 ケグ/ドラフトビール部門へのエントリーは71銘柄で、すべて国内で生産されたビールばかり。この部門で最も出品数の多かったカテゴリーは、ヘーフェ・ヴァイツェン(10銘柄)であった。多様なクラフトビールのなかで売れ筋ナンバーワンのスタイルだけあって、いずれも自信作揃い。海外からの審査員も賞賛するほどの出来栄えであった。

 したがって審査は難航したが、結局、クローブのアロマを強からず弱からず上品に薫らせ、弱いながらも甘味と酸味をきれいに調和させ、ホップの苦味や酵母のエグミを感じられないほどに低く抑え、全体としてみずみずしい飲み口をつくりだしている銘柄がメダルを勝ち取った。

 ヘーフェ・ヴァイツェンのほかに、ケグ/ドラフトビール部門へのエントリー数が多かったのは、ジャーマン・ピルスナー、ケルシュ、シュヴァルツなどのドイツ系ビールであった。ピルスナーもシュヴァルツも粒ぞろいの出来栄えであったが、ケルシュについては入賞したのが2銘柄だけで、ほかに賞に値する出来栄えのものがなかったのがはなはだ残念であった。ケルシュはアロマ/フレーバーに際立った特徴のないスタイルだけに、全体のバランス、アフターテイスト、鮮度、ドリンカビリティが評価の上で大きな決め手となる。それだけに造るのが難しいビールだが、クラフトビールの技術の向上という意味でも多くのブルーワーにチャレンジしていただきたい。

  最後に、ビールをご出品いただいた国内外のビールメーカーならびに販売会社の各位には、心からお礼を申し上げたい。また、ビールの審査に参加してくださった国内・海外のジャッジの皆さん、準備・進行・管理にあたってくださったスチュワードの方々には厚く感謝の意を表したい。

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